【 2023年10月4日 午後 】
提訴に至った経緯、原告のコメント、代理人弁護士の解説
【原告後藤徹氏の12年5か月 拉致監禁体験】
その日は突然訪れました・・・
1995年9月11日、都内の実家へ帰った日
脱会説得の専門家の教唆を受けた8人の親族に
拉致され、マンションに監禁されました
31歳の私は
婚約者と所帯をもつ約束を交わしていたばかり
何とか脱出できないか・・・
過ぎ去る歳月
焦燥感
褐色の天井に沿う木目模様を眺めながら想う
・・・このまま一生ここで朽ちるのか
孤独と絶望感
一日一回の慰めは夕方に微かに聞こえてくる
“夕焼け小焼け”のメロディー
そのしらべを何千回と聞き果てた末・・・
監禁から12年5か月たった2008年2月10日
突然、監禁から解放された
私は44歳になっていた
突然、解放されるも
栄養失調、全身筋力低下,廃用性筋萎縮のため
50日間の入院を余儀なくされました
その後、民事提訴し、4年半の審理を経て全面勝訴判決
12年5か月間、監禁状態にあったことが認定されました
(2015年9月 最高裁決定)
原告 後藤徹氏からのメッセージ
この度、ジャーナリスト鈴木エイト氏を相手に、名誉毀損等に基づく損害賠償を求めて、2023年10月4日、東京地方裁判所に提訴しました。
内容は、鈴木エイト氏のX(旧Twitter)等での発言を名誉毀損の不法行為として、私が被った精神的苦痛に対する慰謝料等1100万円の損害賠償を求めるものです。
私は、脱会屋、反対牧師及び家族・親族によって12年5か月間にわたり、マンションの一室に監禁されて脱会強要を受けました。解放された後に、脱会屋等を被告として不法行為に基づく損害賠償請求訴訟を提起し、東京地裁及び東京高裁で拉致監禁等の事実が認定されて2,200万円の損害賠償請求が認容され、2015年に最高裁で確定しました。
鈴木エイト氏は、自身が主筆を務めるニュースサイト『やや日刊カルト新聞』において、私を「マンションに留まり、居直った末に果てにニート化してただの“引きこもり”となった男性信者」などと愚弄し、また、テレビ番組『情報ライブ ミヤネ屋』においても私を「引きこもり」などとコメントする等、名誉(社会的評価)を著しく毀損する発言を繰り返しました。また、2023年7月に開催されたシンポジウムでは、私の拉致監禁を「引きこもり」と称したことについて問われたところ、「どうでもいいです」と答えました。
この発言について、鈴木氏は、X(旧Twitter)において、家庭連合という「反社会的団体」によって「思考の枠組みを変容され」、これにより「改変された記憶」に基づき「拉致監禁!強制棄教だ!」と「被害者面でアピールしているだけ」とか、「反社会的団体による『被害者アピール』は取り上げる価値もなく『どうでもいい』こと」と投稿しました。
このように、私があたかも「操り人形」であるかのような愚奔をして、人間としての尊厳を否定しました。
この裁判を通して鈴木エイト氏には、自分がいかに人を傷つける発言をしているのか、深く自覚していただき、これまでの暴言に対してはきっちりと償っていただきたいです。
原告 後藤徹
代理人紹介
- 弁護士 徳永信一
- ー略歴ー
1958年、大阪府に生まれ、77年に京都大学経済学部入学。85年京都大学法学部卒業。京都大学大学院法学研究科中退。これまで大阪HIV訴訟、靖国神社 首相参拝 違憲訴訟、沖縄 集団自決 冤罪訴訟、朝鮮総連免税違法訴訟、沖縄 孔子廟訴訟、琉球新報「パンドラの箱」訴訟などを担当。
共著に『薬害エイズ国際会議』(彩流社)、『靖国神社』(遺族らの補助参加 PHP.)、『代理人たちの憲法訴訟』(弘文堂)、『家庭連合信者に人権はないのか』など。保守派の論客としても有名で、雑誌『正論』『WILL』に執筆。『Hanada』令和5年11月号に『旧統一教会解散請求は危険』を寄稿。
また、昨年全国5つの自治体で地方議会が家庭連合との関係を断絶するという決議がなされたが、この不当な決議が信教の自由の侵害に当たるとして取り消しを求めた訴訟において、原告である家庭連合の信者ならびに関連団体の代理人を務めている。
- 弁護士 中山達樹
- ー略歴—
1974年、神奈川県に生まれ、1998年に東京大学法学部を卒業。その後、シンガポール国立大学法学部大学院、リークアンユー公共政策大学院リーダーシッププログラム、シンギュラリティ大学エグゼクティブプログラム、カリフォルニア大サンディエゴ校国際リーダーシップ機構等を修了。環太平洋法曹協会(Inter-Pacific Bar Association)の要職を務める。2016年公認不正検査士、2022年経営倫理士。現在は中山国際法律事務所の代表弁護士。インテグリティ・エバンジェリストとしてインテグリティ(高潔さ)の普及に努めている。
著書は、『グローバル・ガバナンス・コンプライアンス』や『インテグリティ ーコンプライアンスを超える組織論』等。2023年夏、『拝啓 岸田文雄首相 家庭連合に、解散請求の要件なし』を執筆。
訴状(2023年11月21日【改訂版】)
2023年11月21日に「訴状訂正申立書」を提出し、訴状の一部を差し替えました。
下の訴状は、新たに差し替えた訴状(改訂版)となります。
差し替えた箇所は元々の訴状の第2「請求の原因」の「3 本件各発言による名誉毀損等の人格権侵害」の全部(元々の訴状5頁2行目~同7頁14行目)です。
下の「改訂版」訴状における“差し替え箇所”は5頁2行目~9頁21行目となります。
エイト氏の「引きこもり」発言が、単なる意見論評ではなく、原告後藤氏が12年半、拉致監禁の上でディプログラミングされた事実を否定する「事実の摘示」であった点を明らかにしました。
応援コメント
- 作家・ジャーナリスト
福田ますみ - 家庭連合信者に対する拉致監禁は重罪であり、決してどうでもいいことではない。
しかし鈴木エイト氏は、拉致監禁被害者への誹謗中傷をやめようとしない。
開き直る彼に猛省を促すにはもはや法的手段しかない。後藤徹氏の勝訴を切に願っている。
- 東京キリスト教神学研究所幹事/日本キリスト神学院院長
/SALTY-論説委員
中川晴久 - 今回、後藤徹さんが原告となって起こされた裁判には、いくつかの重要な背景があります。
まず、キリスト教牧師の指図によって為された誘拐拘禁という事実です。誘拐拘禁を専門とするグループがあり、それを支援する組織もあり、今もなお実行犯は野放し状態で情報発信しています。そんなところにキリスト教の正義はありません。
初期キリスト教教父たちは「異端論駁」を通して正統教理の輪郭を明確にしていった歴史があります。しかし、拉致監禁による「保護説得」は「異端論駁」をあまりにも逸脱しています。これをキリスト教史の中に位置付けるならば、中世後期頃からの「魔女狩り」にあたるものでしょう。当時は「悪魔に憑かれ」でしたが、現代ではそれが「マインド・コントロールされ」に変わり、「魔女」と断定されるがごとく社会から排除するのです。
この裁判には、後藤徹さんに留まらず、多くの拉致監禁被害者たちの存在が背後にあります。私が最も深刻に考えるのは「親による子への虐待」です。たとえ拉致監禁されたとしても、子は親を訴えることができません。親子の「愛情」が利用されてしまいます。キリスト教の牧師たちによって拉致監禁の理論や方法をレクチャーされた親が「愛情をもって」子に襲いかかるのです。子も親の「愛情」が分かるので苦しみます。それはどうあれ親と子との関係に大きな傷と深刻なダメージを残すことになります。
原告の後藤徹さんが今回闘う背景には、以上のような背景があります。私がこの裁判で後藤徹さんを応援するのは、キリスト教界を代表しての自己批判でもあります。このような恐ろしい拉致監禁を軽く扱い、被害者を小ばかにする発言の数々が許されてはなりません。
教父 ラクタンティウスの言葉
「我々はキリスト教を守らねばならない。他人を殺すことによってでなく、我々自身が死ぬことによって。…もし君らが血と拷問と悪しき事によってキリスト教を守っていると思うならば、それはもはやキリスト教を守るのではなく、それを汚し害することである。」